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2021年10月26日 (火)

ブログは心地良い距離感を提供してくれます(ブログを始めたきっかけ)。

何事を始めるにも、きっかけはありますよね。なんで幼稚園の先生になったのかと聞かれると、子供が好きだから、と答えが返って来る。しかしそれが実現して時間が経つと、子供と一緒に居られて楽しいなあ、と毎日毎日思いながら勤めているわけではない。職場で日々気になってるのは、同僚との付き合いや、保護者への対応や、給料のこと、上司との関係などでしょう。

弱い人たちの味方をしたいから、弁護士になった。人の命を救いたいから、医者。みな同じ経過をたどるはずです。

つまり何かを始めた時の気持ちは、時間が経つにつれて、薄れていくようです。続けることで、良くも悪くも、新しい発見や体験が、次々に積み重なるからだと思います。特にブログは、大多数の人にとっては、職業ではありません。絶対に必要なものではない。ですから、ブログを始めた理由よりも、ブログを続けている理由のほうが、ブログとの関係をより正確に、深く語ることができそうです。

僕がブログを始めたきっかけは、みんなやってるから、くらいの気持ちで、他にもいろいろ考えたはずですが、現在にまで残っている重要な動機はありません。それで、なぜブログを続けているのかと聞かれると、どう答えたらいいか、ますます戸惑ってしまいます。

日記を付けたことはありませんが、ブログを書いてると、日記ってこんなものかなあ、と思うことはあります。日記とは、「日々の出来事や感想などの記録。……日誌よりは私的・個人的。」(広辞苑第五版)となっている。人にもよるでしょうが、ブログは僕にとって、ほぼ似たようなものです。日々の出来事や感想などの記録を、私的・個人的に書けばいい。

ところが、日記をつけることは矛盾していると、僕は以前から思っていました。文章を書くという作業は、自分の心を外に出すことだ。外に出せば他人の眼に触れる可能性があります。むしろしばしば言われるように、読まれることを前提にして、日記は書かれるのかもしれません。けれども、たとえ人に覗いて欲しくても、実際には、日記を他人が読むことはほとんどありません。

この点が、日記とブログの決定的なちがいです。ブログの活字の向こうには大勢の人間がいる。日記とちがって、ブログの文章は、実際に、他人に読まれている。ブログは、日記が求めて得られなかった他者を、現実に提供してくれているのです。

ブログはもう一つの状態も提供します。古来、人は心の通う本当の友人を求めてきました。「しみじみと ものうち語る とももあれな きみのことなど 語りいでなむ」。しかし、しみじみとものうち語られる友からすると、恋人への情熱をクドクドと聞かされれば、うざいと感じることでしょう。啄木は若くして亡くなりましたから、同質的人間同士でも、長く一緒にいられるわけがないことに、気づかなかったかもしれません。ゴッホとゴーギャンの共同生活が、2か月で破綻したことを、啄木はどう考えるでしょうか?それは天才たちだけに当てはまることなんでしょうか?

だから僕は西行にも尋ねてみたい。「寂しさに 堪へたる人の またもあれな 庵ならべむ 冬の山里」。自分と同じ心境の人がいて欲しい。庵を並べれば、冬の山里の寂しさも少しは和らぐだろう。心暖まる想像です。ところが現実に、西行のような繊細な人が二人、庵をならべて、その付き合いが円満に続くんだろうか?

ブログの向こうには確かに大勢の人間がいます。その何人かは、寂しさに堪え、しみじみとものうち語れる友だと、空想することもできます。その幻想は心地良い。しかもそれらの人とは、庵をならべてはいない。活字や写真によって隔てられている。間接の付き合いですから、ゴッホとゴーギャンのように、仲たがいすることもありません。ブログの場合は、相手はたいがい黙って去っていくのです。だから自分を分かってくれる人が、活字や写真の向こうにいるはずだという期待は、いつまでも裏切られることはない。「いいね」が付くと嬉しいが、付かなくても、がっかりしないですむのです。

twitterなどの誹謗中傷が問題になるのは、自分と違う意見に過度に反応するからでしょうが、そのことは逆に、この種のツールの向こう側に、自分と同質的な人間を求めていることを示しています。

同質的な他人を前提しながらも得られないという、日記が抱えていた矛盾。そういう人間と現実に一緒にいると、関係は長続きしそうにないという、啄木や西行が直面するにちがいない二律背反。この困難な問題を、二つともいっぺんに、ブログは解決しているようです。

ブログを始めたきっかけは忘れてしまいましたが、続けている理由には、思い至りました。語り合いたい同質的な他者との、間接的な距離感の心地良さを、ブログが提供してくれるからでしょう。

 

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