紅白歌合戦がつまらないのはスマホのせいだ。
紅白歌合戦が面白くなくなった、という意見をしばしば聞くようになりました。昨年末の視聴率は34.3%で、過去最低だったそうです。
僕は、天童よしみさんや坂本冬美さんが出て来ると、ほっとするような世代です。椎名林檎さんが登場すると、やっぱりこういう人がいいなあと思います。僕にとっては出場者のほとんどが、知らない歌手で、知らない歌です。それから詩がまだるっこい。どうせ僕らはもう視聴者の対象には入ってないんだろうと思ってますから、怒っている訳でもありません。
ところが30代くらいの知人でも、知らない歌手がいるし、曲も知らないのがある、という話をする人もいます。僕らがその頃は、はやっている歌というものは、どの世代でも知っていました。
しかし少し考えても分かりますが、60代の人が感動する歌に、20代の若者が同じ感動をするはずがなかったのです。僕が20代だった頃を思い出すと、はやっている歌だと、一応、感動はするのですが、やっぱりぴったり来ない部分があって、どこか少しずれてる。井上陽水など僕らの世代の歌はあったのですが、それでも完全に一体化できたわけではない。流行している歌というのは、そんなものだと思いながら聴いていました。
ところが現代では、同世代でも知らない歌があるという話です。しかしこれは正常と思うべきだ。たとえ同世代でも、感動できない曲を聞きたくないのは、当然です。気に入ってる歌手やグループの、気に入っている歌だけ聞きたい。歌を聞くとは本来そういうことでしょう。
これはパソコンやスマホの普及と関係があると思います。よく言われるように、これらの機器の普及によって、人は自分の好きな物や事だけを選ぶことが出来るようになった。それが流行歌あるいはポップスの選択にも及んでいると考えるべきでしょう。自分に合わない歌を無理して聞くことはない。その通りです。
紅白歌合戦もこのような時代の影響を受けているはずです。歌手の選び方も難しくなっているんでしょう。こうなると各世代から、はやってるらしい歌を均等に選ぶことになりますか?10歳代、20歳代、30歳代から、最近は長生きですから100歳代までの10世代それぞれが好む曲と歌手を、均等に選ぶのがいいんだろうか。NHKもその積りなのかもしれませんが。
それにしても自分の好きな曲だけ聴くという流れは変わりませんから、こういう全国民が見ることを想定した番組は、困難な時代に差し掛かってるんでしょう。2000年以降の大河ドラマで、期間平均が最高の篤姫でさえ、24.5%ですから、歌とドラマの違いはありますが、国民的な番組の視聴率だと、このレベル以下まで下がるのは、一つの目安でしょう。司会がまずかったという批判がありますが、それは本質的な理由じゃないと思います。視聴率が低いのは多様性の一つの結果です。
どういう状況でも、出来るだけ多くの人や世代に、感動を与える曲こそが、本当に良い歌ではあるとは、いつの時代にも当てはまるでしょうが、それがひどく難しい時代になりました。
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